MLBで2026年から本格導入されたABS(自動ボール・ストライク判定システム)。いわゆる「ロボット審判」です。
ただし、すべての投球を機械が判定するわけではありません。選手が「今の判定はおかしい」と申告できるチャレンジ制度という形で運用されています。
この記事では、ABSのチャレンジのルールを図で整理し、日本のプロ野球(NPB)で導入される可能性についても、次回WBCとの関係から見ていきます。
ABS(ロボット審判)とは?
ABSは「Automated Ball-Strike System」の略で、投球のコースを機械が計測してボールかストライクかを判定する仕組みです。
使われているのはホークアイ(Hawk-Eye)という高性能カメラシステムです。
複数のカメラでボールの軌道を3次元で追跡し、ストライクゾーンを通過したかどうかを判定します。テニスの判定システムと同じ技術です。
MLBのABSは「チャレンジ制度」
ここが誤解されやすいポイントです。
MLBが2026年から採用したのは、全球を機械が判定する方式ではありません。
従来どおり球審がボール・ストライクをコールし、それに納得できない場合だけ、選手がチャレンジ(判定の見直し要求)を申告できる形です。
一方、韓国のKBOリーグは2024年から全球を機械が自動判定するフルオート方式を採用しています。球審はイヤホンで結果を受け取ってコールする役割です。
| 項目 | チャレンジ方式(MLB) | フルオート方式(韓国KBO) |
|---|---|---|
| 判定するのは | 球審不服なときだけABS | 全球をABSが自動判定 |
| 球審の役割 | これまでどおり判定 | 結果を受け取ってコール |
| 導入時期 | 2026年〜 | 2024年〜 |
ABSチャレンジのルール
チャレンジの流れは次のとおりです。
チャレンジできる回数は1試合2回
各チーム1試合につき2回です。
ポイントは成功すれば回数が減らないこと。判定が覆ればチャレンジ権は維持され、球審の判定が正しかったときだけ1回消費します。
延長10回に入った時点でチャレンジが残っていない場合は、あらためて付与されます。
チャレンジできるのは3人だけ
申告できるのは投手・捕手・打者のみです。
監督は要求できません。ベンチやダグアウトからの助言も禁止されていて、選手が自分の感覚だけで判断します。
要求の方法とタイミング
帽子やヘルメットを軽く叩くのが正式な合図です。
しかも投球の直後(約2秒以内)に、ためらわず行う必要があります。
結果はホークアイの軌道アニメーションとして、球場のビジョンや中継画面にすぐ表示されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 回数 | 1試合につき2回延長10回で残りがなければ再付与 |
| 成功した場合 | 回数は減らない |
| 失敗した場合 | 1回消費する |
| 要求できる人 | 投手・捕手・打者監督は不可 |
| 方法 | 帽子やヘルメットをタップ |
| タイミング | 投球の直後(約2秒以内) |
| ベンチの助言 | 禁止 |
ABSのストライクゾーンは打者ごとに変わる
ABSのストライクゾーンは、打者の身長を基準に設定されます。
上端が身長の53.5%、下端が27%の高さ。幅はホームベースと同じ17インチ(約43cm)です。
身長が高い打者ほどゾーンは上下に広く、低い打者ほど狭くなります。同じコースでも、打者によって判定が変わるということです。
また、機械が軌道を計測して判定するため、チャレンジされた投球については捕手のフレーミング(捕球でストライクに見せる技術)は通用しません。
日本(NPB)でのABS導入はどうなる?
結論から言うと、NPBはまだ導入していません。導入を決定したという発表もありません。
課題として指摘されているのが設備の費用負担です。
一軍の本拠地だけでなく、公式戦が行われる地方球場にも設備が必要になるため、誰がどう負担するのかが問題になります。
それでも日本で導入される可能性が高い3つの理由
理由1:次回のWBCで採用される見込みがある
2026年3月のWBCでは、ピッチクロックや牽制の回数制限は採用されましたが、ABSは採用されませんでした。
ただし次回大会については、2029年か2030年のWBCから導入されるのではないかという見方が出ています。
ここが日本にとって重要なポイントです。
WBCの1次ラウンドは、これまで東京ドームで開催されてきました。次回も日本で開催するのであれば、その球場はABSに対応した設備を備えている必要があります。
国際大会の要件として設備が求められれば、NPBとしても整備を進める強い動機になります。
理由2:全12球団の本拠地にホークアイが導入済み
実は、ABSの土台になる設備はすでに日本にあります。
2024年から、NPB全12球団の一軍本拠地にホークアイのトラッキングシステムが導入されています(ソニーとNPBの取り組み)。
現在は選手のデータ計測や映像コンテンツ、アプリでのデータ配信に使われていますが、MLBのABSと同じホークアイの技術です。
つまり一軍の本拠地に関しては、ゼロから設備を入れる話ではなく、すでにある基盤を判定にどう使うか、という段階に近いということです。
理由3:NPBはMLBのルールを追いかけてきた
コリジョンルールや申告敬遠のように、NPBはMLBで導入されたルールを数年遅れで採用してきた前例があります。
ピッチクロックも、MLBが2023年に導入し、NPBは2026年8月に導入を決定しました。
ABSも同じ流れをたどる可能性は十分にあります。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| MLB | 2026年からチャレンジ制度を本格導入 |
| 韓国KBO | 2024年から全球自動判定 |
| WBC | 2026年大会は不採用次回は2029年か2030年の見込み |
| NPB | 未導入・検討段階ホークアイは全12球団に設置済み |
あわせて知りたいルール変更
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2026年からはクライマックスシリーズのルールも変わりました。
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新ルールが実際にどう運用されるかは、試合を見るのがいちばん分かりやすい方法です。
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まとめ
ABSは投球のコースを機械で判定する仕組みで、MLBでは2026年からチャレンジ制度として本格導入されました。
チャレンジは1試合2回、成功すれば減らず、要求できるのは投手・捕手・打者のみ。ストライクゾーンは打者の身長を基準に決まります。
日本での導入はまだ決まっていませんが、次回WBCでの採用見込み、全12球団に設置済みのホークアイ、そしてMLBのルールを追ってきた流れを考えると、将来的に導入される可能性は高いと言えます。
動きがあり次第、この記事も更新します。
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